「いわゆるパソコンボランティア」組織を、行政区ごとにに設立する構想について(つどいグループ・三瓶試案)

三瓶和寿
視覚障害・フリーランス・つどいグループ代表

  1. 全ての市民に対し、インターネットを広げる背策の流れとそれを支える体制の必要性

    「gigaスクール構想」をご存じでしょうか?
    小・中・高の児童生徒さんに対し、一人一台のパソコンを整備する国の事業です。
    タブレットを整備することで、電子教科書などを活用し、学習効果を高めることを狙った施策です。
    これは、教育に先進技術をあまねく導入する社会実験です。
    あまり、教育現場でも共通理解が進んでいませんが、若年層への標準的な実践を作ることにより、民間主導の開発だったICT技術を、市民に共通したインフラとして整備しようとする考え方が基礎になっています。

    例えば、電子書籍には、標準的な”pdf”や”EPUB”から、各社徳治の形式まで幅広いものがありますが、”gigaスクール構想”で導入される電子教科書は、アプリや端末に縛りのない形式です。
    交通系ICカートのように比較的使いやすい物はすでに市民権を得ていますが、住民基本台帳と連動したICカードや、納税にインターネットを活用できるサービスなどはまだまだ認知が進んでいるとは言えません。
    交通系ICカードは、導入に至る歴史が長く、技術的な共通化や、障碍者への配慮などが十分考慮されてきた経緯があります。
    一方、住民基本台帳連携のシステムや、税金納入のシステムは、歴史も浅く、障碍者への配慮も弱かったのが現状。
    インフラ整備でよく語られることですが、障碍者や高齢者に配慮されたシステムは全ての市民に利用しやすいものになりうるというのがこの事例でもわかります。

    前述の”GIGAスクール構想”は、市民へのICT技術導入に対する合理的配慮を実践的に研究するための役割も果たせる可能性を秘めています。

  2. “巣ごもり”でも社会参加できるためのインフラ整備としての転回

    新型コロナが猛威を振るう中、不要不急の外出の自粛が呼びかけられ、自宅待機を要請されることが日常になりました。
    ただでさえ、社会参加が制約される障碍者・高齢者にとって、この現状は、きわめて不自由です。
    代わりにとれる手段として、パソコンやタブレット・スマートフォンを活用し、在宅勤務、遠隔研修・交流が進んできました。
    ところが、職場・学校・コミュニティーとのつながりを持たない方にとって、これらの先進技術を取り入れるにはハードルが高いのが現実です。

  3. 特に個別の支援が必要な方への、横断的な情報共有の必要性

    コマーシャルや知人からの口コミに期待して、スマートフォンやタブレット、パソコンを準備しても、十分な支援が得られず、目的を果たせぬまま断念される方が総統に多くいらっしゃると想像できます。
    とはいえ、全てのケースで、販売店や身近なつながりでフォローすることも現実的には不可能です。
    パソコンに至っては、個別のニーズに応えて、専門的知識に裏付けられた形で調整するかどうかが使い続けるためのカギになります。

    これらを支援するための専門的なノウハウは、かなりの部分は、構築されてきました。
    インターネットで情報を集めることで、実現できるレベルに近づいています。
    ただ、これらの分野に対し、横断的な”ジェネラリスト”の視点を持たないと、目の前におられる支援が必要な方に対し、適切なアドバイスはできません。
    さらに、心が折れている障碍者・高齢者に対し、いわゆる「技術変調」が、当事者の声を十分傾聴せず、技術の「上から目線の指導」にとどまる事例が見受けられるのも現実。
    従来の支援のあり方の再検討も含め、体制を作ることが期待されています。

  4. 役割を担える障害当事者の積極的登用につなげるために

    地元にいらっしゃる当事者の特技を活かして、利用しやすいサポートの連合体を行政区単位で広げられることが期待されると考えます。

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