三瓶和寿
視覚障害・フリーランス・つどいグループ代表
内容の概要
自宅でのテレビ放送の視聴は、テレビ本体、レコーダーいずれの場合もほとんどのメーカーの製品で、副音声を再生することができます。
スマフォやタブレットで視聴する場合、NHK plusアプリや、ティーバーアプリでも問題ありません。
ところが、家に設置したレコーダーや、チューナー、セットトップボックスからWiFiでスマフォ・タブレットに転送するタイプの方式では、副音声が再生できないことがわかっています。
その現状と技術的・法的な課題を整理し、話題提供します。
内容の詳細
前職で学生さんへ、テレビの録画番組を提示することをしていました。
全盲の私が自力で録画番組を自宅で撮り、職場で、学生さんに見せるわけですが、当時、レコーダーの操作が十分音声ガイドされなかったこと、DVDに焼き付けるのに、放送時間と同じだけ、時間がかかるなど、使い勝手がいいとはいえませんでした。
そこで着目したのが、ハードディスクに録画したものを、多雨レットにWi-Fi経由で転送・持ち出しする方式です。
地上デジタル放送開始から程なく、この技術が実用化されたので、早速試しました。
メーカーを選べば、実用的に利用できることがわかり、大変重宝しました。
当時は、まだNetflixもプライムビデオもないじだいですから、このような使い方をするのは、ごくごく一部の者だろうと重い、「再生できれば十分」という認識でした。
最近になって、視覚障害者をお客様にした何でもありのフリーランスとして、タブレットでのテレビ録画の提示を試したいとの問い合わせを受け、調べ直してみました。
ところが、どうやっても副音声の再生ができません。
ここで言う副音声とは、通常の放送の音声の他に、視覚障害者が画面の状況を理解する助けになるための音声での説明のことで、「金曜ロードショー」の解説などがそれです。
開発元に問い合わせてみると、国内のメーカーで定めた方式に沿って、副音声が転送されているけれども、それをスマフォ・タブレットで再生するCPUが副音声の再生に対応していないので、再生できないとのこと。同じような問い合わせは初めてではないので、課題は認識しているけれど、再生アプリ側では対応できない。と申し訳なさそうにお話しされました。
次に総務省に問い合わせると、法律で字幕や副音声について定めている放送法第4条大2項は、家で見るための機器と、スマフォ・タブレットのNHK plusおよびティーバーアプリについては効力があるけれど、Wi-Fi経由の民間技術は対象にならない。との見解です。
そこで、デジタル技術の本丸・経済産業省に問い合わせると、
「あなたがお話しされていることが事実かどうかもわからないし、事実であったにしてもそれを解決するための担当が、経済産業省かどうかもわからない。」
とのお返事でした。
これでは全く見通しが立ちません。
(ア)
CPUを対応させると言っても、それを決めているのは、appleやAndroid スマフォ・タブレットの各メーカー なので、不可能だし、既に大量に存在する現行のデバイスはサポートされない。
(イ)
基本の放送契約に大使、受信料を支払っているにもかかわらず、ユーザーの使用方法によって、受けられるサービス内容に大きな差異が生じている。
言い換えれば、現状では、副音声放送を聴取したければ、スマフォやタブレットの利用は諦めて、別の方法をとらなければならない。
これから本格的に利用者が増えると予想される技術なので、早めに対策を打つことが必要だと考え、ここに簡潔にまとめてみました。
上記のような現状を皆さんは、どう思われますか?
是非、忌憚のないご意見を頂ければと思います。